コーヒーの生豆のカビ毒について

カビがない“日本で唯一の”コーヒー豆というコピーが踊っている広告を拝見しました。これはものすごい誤解を生む表現だなって思ったのでブログに書き留めておきます。

このような書き方をすると、このお店以外の豆にはカビ毒が含まれていると思われてしまいます。当店は開業以来、それなりの豆を焼いてきていますが、カビ豆と呼ばれる豆を見たことがありません。「これはカビかな??」みたいなのは結構あるんですが、カビに見える違う何かであることがわかっています。(お米で黒くなってるやつとか、そんな感じのです)

というのも、インポーターは食品衛生法に基づき、輸入する食品の安全性を担保する必要があるためです。うっかりカビ豆なんて輸入しちゃうと大変なことになります。

カビ毒については食品として輸入される関係で、それはもうしっかりと検疫によって検査されています。この検査によって何らかの違反が明らかになった場合は、厚生労働省の違反事例のレポートに掲載されます。

コーヒーの違反事例を見つけるのがなかなか大変なんですが、以前は焙煎されたコーヒー豆に日本では使えない添加物が含まれていたなどで違反となった例があります。

令和6年度は4月にアメリカから輸入された生アーモンドにカビ毒であるアフラトキシンが検出されたという事例が掲載されています。

少なくとも輸入されている時点でカビによるリスクはほとんど無視できると考えられるわけです(検出されてないので)が、コーヒー豆へのカビのリスクはまだあります。それは保管時の湿度などによるものです。
それこそ温度変化の激しいところに長く放置するようなことをすると、袋内部に結露が発生しそれに接触した部分にカビが生えるということは容易に想像できます。

よって、カビがありませんという宣伝文句は「ちゃんと保管してます」というごく当たり前のことを言っているだけにすぎないわけです。

と、ここまで書いていて興味深い文章を見つけました。全日本コーヒー公正取引協議会が2019年7月25日に出した「カビなしコーヒー豆と称する製品についての見解」というものです。詳しくはリンク先をみていただきたいのですが、その中の1と4について引用します。

1.日本で販売されるコーヒー製品は、食品衛生法(厚生労働省)に基づく輸入食品検疫を受け、残留農薬やカビ毒(総アフラトキシン)の問題のないものが輸入されていますので、「カビ無しコーヒー豆」と記載されていなくとも安全なコーヒーといえます。 

4.「カビ無しコーヒー豆」販売のブログには「船による輸送中にカビが発生」とありますが、海上輸送中の水濡れや結露したコーヒー生豆は厚生労働省の輸入食品検疫で廃棄を命ぜられ、コーヒー製品として国内で販売されることはありません。 

当店は以前、海外から食器を輸入しようとしたことがあるんですが、ここで食品衛生法に基づく様々な検査について勉強しました。検疫、マジで超しっかりやっています。国民の命に関わることですから、いい加減なことは一切していないと確信しています。

ですので、当店のお豆は「カビ毒がありません」なんてことは書いていませんが、安心安全であることに変わりありませんので、これからもご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

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