当店の焙煎の管理方法について
当店はご注文の重量にあわせ、2種類の焙煎機を使い分けています。
180g以下のご注文は富士ローヤルのCOFFEE DISCOVERY、450g以上のご注文はAillio Bulletです。熱源が異なるため完全にフレーバーを一致させることは難しいのですが、できるだけ近くなるよう様々な対策をとって焙煎しています。
対策1:環境
当店は農家のお宅を焙煎所として活用しているため、季節によって焙煎スペースの室温が大きく異なります。焙煎をするときは室温を20〜28℃にするようにしています。
というのも、焙煎の進行は室温によって結構変わるためです。
冬の焙煎は夜や早朝の焙煎をさけ、昼前から夕方までの室温が高く安定している時間帯に焙煎をするようにしています。
冬以外は逆に昼から夕方の間の焙煎は、日光や外気の上昇の影響を受けやすいため早朝や夜間の焙煎をするようにしています。
対策2:余熱
焙煎機は焙煎前にしっかり余熱をしています。余熱をしないと焙煎中に熱が焙煎機に移ってしまい、豆にしっかりと熱を加えられなくなります。以前は捨て豆で1バッチ回してから焙煎するようにしていたんですが、無駄が多いので余熱をしっかりやる方向になりました。
COFFEE DISCOVERYはだいたい60分、Aillio Bulletはだいたい30分です。
対策3:ロギング
当店の焙煎は開業前からすべての焙煎を記録しています。Aillio Bulletに関しては焙煎後重量の情報もあわせて記録し、お客様からの問い合わせがあった場合は注文情報から焙煎データを呼び出し、不審な点がないか確認するようにしています。
対策4:アグトロン値、焙煎度
焙煎どの決定は豆ごとに様々ですが、定量的に判断できる指標としてアグトロン値があります。アグトロン値は近赤外線を使用して豆の色を測定して数値化したものです。ところが、豆自体が持っている色の影響を受けることもあるため、この数値だからこの焙煎度だといった表現はせず、他の要素とあわせて総合的に判断するようにしています。
アグトロン値の測定は豆のままと挽いた状態でそれぞれ複数回測定します。基本的に当店の焙煎は豆の量が少ないため、焙煎プロファイルの決定時や焙煎に不審な点があった場合にアグトロン値の測定を行っています。
次に焙煎度の基準となるのは1ハゼです。当店では1ハゼが起こるあたりをミディアムロースト、1ハゼが終わるあたりをハイロースト…と定義しています。これに加えて温度帯、その温度に達するまでにかかっている時間など基準となるプロファイルを決定した時に、それぞれのポイントを把握しておきます。
同一条件同一品種での焙煎では、焙煎後重量を生豆重量で割った値(ロスレートともいいます)も判断材料の一つです。同一条件で焙煎しているのに焙煎後の重量が基準より乖離している場合、焙煎中に何か問題が起きていることを示唆します。そういった焙煎の豆は出荷することはありません。
当店ではカラースケールや見た目の色をのみ使用して焙煎度を判断することは行っておりません。豆の見た目の色は焙煎度以外の影響を受けやすいためです。
焙煎度は豆の品種、精製、与える火力、時間、ハゼの状況などで総合的に判断しています。
対策5:焙煎機の定期メンテナンス
書くまでもないんですが、焙煎機は定期的にメンテナンスを実施しています。特に排気ルートの清掃は必須で、これを怠るとローストカーブが大きく変化します。
消耗品は定期交換し、万一に備えて予備の消耗品もストックしてあります。
いつも通りの環境でいつも通りの焙煎をしているのに、ローストカーブが通常より異なる傾向にある場合は、随時メンテナンスを実施しています。
対策6:定期的なプロファイル改良
これも書くまでもないのですが、焙煎した豆は当店のスタッフにより随時試飲が行われています。焙煎直後はもちろん、焙煎後数ヶ月経った豆も試飲しています。
常に最新の焙煎に関する情報をリサーチし、必要に応じて焙煎プロファイルの改良を行っています。最近行った変更は焙煎前半の火力設定の基準をローストレベルに応じて細かく再定義した点です。
お客様に安心してお買い求めいただけるように
当店は実店舗がないため、お送りするコーヒーの品質と飲用体験、Webサイトの購買体験がすべてです。雰囲気のいいカフェではありませんし、イケてるラテアートもありません。すべては豆の品質とお客様の体験にかかっています。
そのため、お送りする豆の情報はできるだけ正確にわかりやすくすることを心がけ、常に表現方法を研究し改善に努めています。しかしながら焙煎どの定義やフレーバーの感じ方は人それぞれ異なる場合もあり、色合いの表現は端末の種類や設定によって大きく異なります。これらをなんとかしたいと日々研究と改善を続けています。
もし、注文したコーヒー豆の焙煎度やフレーバーが「思ってたんと違う」場合がありましたら、遠慮なくお知らせください。できる限りの対応をさせていただきます。