当店のパッケージをリニューアルしてまして、そこに豆の飲み頃はいつぐらいなのかを目安に入れてみようという話になりました。しかしこれがなかなか大変な作業です。
一般的にはコーヒー豆の賞味期限は焙煎後6ヶ月程度、illyの缶は24ヶ月となっています。24ヶ月も風味を保てるのかと驚きではありますが、いわゆる不活性ガスを使って酸化を防止する処理がされているのだと思います。また、どの商品も開封すると賞味期限は無効になり、早く使い切るように指示があると思います。
当店の豆は不活性ガスを使っていませんので、6ヶ月以内にお召し上がりくださいということにしております。しかしこれはコーヒーとして飲めるという話であって、スペシャルティコーヒーの味わいが持続しているかという話になるとまた別です。ですから「開封・賞味期限に関わらず、お早めにお召し上がりください」と書き添えています。
じゃあ味は?
これも店ごとに主張が異なっていて皆さん大変混乱すると思います。ある店は焙煎直後が美味しいというし、ある店は3日から1ヶ月というし、1週間以内という店もあった気がするし…
当店は美味しくいただけるかどうかという点に注目して官能試験をやっておりますが、2ヶ月超の豆でも全然美味しくいただけています。風味のピークはだいたい1週間前後に訪れます。豆によっては2〜3週間後になるものもあります。そこからじわじわと味わいがマイルドになって落ち着いてゆき、1ヶ月から2ヶ月くらいは持続されます。2ヶ月以降は味わいがぼやけていきます。
焙煎したての豆はお湯に触れるとガスをたくさん放出するので、豆が膨らみます。これは新鮮な証拠としてもてはやされていますが、焙煎豆は新鮮だから美味しいという訳ではありません(少なくとも当店の考え方では)。店長的には少なくとも焙煎後数日は空けたいところです。
当店で販売している豆は180gですから、だいたいこの味わいのピークがある1ヶ月以内には飲みきれるサイズだと思います。
各期間でのザックリした感想は
焙煎直後:飲めるけどなんかあっさりしている。豆の膨らみがヤバい。
3日前後:香りが立ってくる。美味しく飲める。
1週間前後:香りも味わいもよい。豆の膨らみは落ち着いてくる。
1ヶ月前後:まだまだ行ける。甘みがちょっと抜けてくるかな?
2ヶ月前後:味がぼやけてくる。個性がなくなるというか。それでもこれ単体で見れば美味しくいただける。
です。
半分くらい飲んだところで改めて豆を注文していただき、比較してみるのも面白いと思います。
また、ややこしいこと言うんですが、1ヶ月くらい置いた時にピークが来るという変わった豆もあります。ですから、味の変化も合わせて楽しんでいただければと思います。
先ほど当店スタッフから「3ヶ月置いた豆を飲んでみたけど、この豆は3ヶ月くらいすると綿あめのような優しい甘みが拡がって…」と連絡がありました。脂があまり出ない浅めの焙煎では、楽しめる時間が長いのかもしれません。