品質維持を目的としたアルゴンガス添加開始のおしらせ

品質維持を目的としたアルゴンガス添加開始のおしらせ

当店ではコーヒー豆の品質維持を目的としてすべてのコーヒー豆に不活性ガスの一種であるアルゴンガスを添加することにしました。
品質維持を目的として不活性ガスを使う方法は窒素がよく知られています。当店では様々な物理的特性が窒素よりもアルゴンが適していると判断し、地元の岡谷酸素さんにアルゴンガスの供給をお願いしました。

パッケージの空気の一部をアルゴンガスに置き換えることで酸化による風味劣化を抑えることができるので、賞味期限内のフレーバーの変化を抑え、特に挽き売りやドリップバッグで効果を発揮すると考えられます。表示上の賞味期限は豆、挽き豆、ドリップバッグともに焙煎日から90日となっています。

元々はワインやお酒の品質保持用として認可された経緯があり、こういうところも長野っぽくていいなって思っています。

1月15日出荷分からガス添加をしています。

アルゴンガスと窒素ガスの特性の違いについて

アルゴンガスが窒素ガスより優れている点は、まず窒素よりも不活性なところです。窒素でも十分効果があるのでアルゴンをあえて選択する必要は無さそうに見えますが、他の物質と反応したりする可能性が限りなく少ないというのは、とても安心できる要素です。

次に比重です。アルゴンガスは空気よりも重く、上方置換による添加が可能です。窒素は空気よりもわずかに軽いため、上方置換はできません。脱気してから充填したり、ブロワーでまわりの空気を吹き飛ばすなどコストがかかる方法を使わなければなりません。アルゴンガスは上からふりかけるだけでまわりの空気を押しのけて入っていってくれます。最小の設備投資で、最小のオペレーションで効果が得られるわけです。

ただし、価格は窒素の倍します。幸いボンベはレンタルがあるので、初期費用は窒素の半額に抑えられるようになっていました。

アルゴンガスの安全性について

アルゴンガスは食品衛生法における食品添加物です。従って、適切な取扱いをする上では人体に悪影響を及ぼすものではありません。

SDS(食品安全シート)によれば、高濃度のアルゴンガスを直接吸入すれば窒息の恐れありとされています。しかしそれは窒素でも二酸化炭素でも同じことで、アルゴンガスが危険であるとは言えません。

聞き慣れない物質名ですから「何か悪影響が隠匿されている化学物質なのでは」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、アルゴンは空気を構成する物質の中で窒素、酸素の次にたくさん含まれている、とても身近な物質です。実際、アルゴンガスを生産するときは空気を冷やして液体にし、各物質の気体になる温度の違いを利用した分留という方法で作られています。

不活性という特徴からわかるように、アルゴンガスは貴ガス(希ガス)に属する物質です。仲間にはヘリウムやネオンなどがあります。工業用途では二酸化炭素とブレンドして溶接などに使われています。

お客様の対応の有無について

これまで通り、届いたら中のチャックを外からパチっと閉めてください。業務用のパッケージの場合は裏面の通気バルブをテープで塞いでください。一度開封すればアルゴンガスの効果は小さくなるか無くなります。冷凍保存などと併用していただくことで、より一層劣化を抑えられるはずです。

何らかの事情でガス添加を希望されない方は備考欄にガス添加不要とお書きください。

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