コーヒーの生豆水洗いの必要性ついてふたたび

たびたびご質問をいただく「生豆は汚れているので洗った方がよいという話は本当ですか」について改めて当店の見解をお伝えします。

結論としては、水洗いは不要です。

水洗いをされているお店の広告などには、生豆は衛生的な扱いを受けてないから汚れていて、カビが生えた状態のものもたくさんある。といったことが書かれています。

衛生的な扱いを受けていないというのは、豆がそのまま麻袋に入れられて、常温のコンテナに入れられて長い時間高温にさらされたりして送られてくるということのようです。

まず、最近の麻袋の中に直接豆を入れて運ばれてくるものは、スペシャルティコーヒーに関してはみたことがありません。基本的には緑色の樹脂製袋であるグレインプロなどに入れられています。輸送中にこの袋が破れることはありますが、一般的な輸入穀物に対する扱いとして不当であるとは言えません。

当店ではグレイプロを用意して小分け豆などの保存時の品質をできるだけ保てる工夫をしています。

次に埃や異物が含まれている点について、これは事実で麻の糸くずや石が入っているのをたびたび見かけます。特に正袋(麻袋)で仕入れた豆は顕著です。これらは焙煎前のハンドピックで取り除くことができます。また、コーヒー生豆取扱業者は、小分け時に石抜き機や比重による判別などで異物を取り除いてくれるところもあります(ワタルさんとか)。ですので、正袋で仕入れずあえて小分けで仕入れることで品質の向上を図ることもできます。

小分けのデメリットはキロあたりの価格が高くなることと、有機JAS認定豆であっても小分け時点で有機JASでなくなるところです。

先に述べたカビ豆もハンドピックである程度除去することができますが、どうしても残ってしまうカビ豆も焙煎時に熱処理されることにより、カビ毒が残留することはめったにありません。そして、あった場合でも健康に影響がないことは様々な機関や業者によって検査され確認されています。

水洗いをしない業者がほとんどであるとされるのは、やる手間に対してメリットがほとんどないうえ、大切なフレーバーまでも流れ出てしまうからでしょう。

欠点豆を取り除くハンドピックに関しては、時間がかかってもメリットが大きいので皆さんされています。大量生産される工場でも欠点豆を取り除ける機械を入れたりして対策されています。

水洗いの根拠の一つとしてたびたび挙げられるのが、ブレットプルーフコーヒーや完全無欠コーヒーと呼ばれるダイエット用のコーヒーです。ここで使うコーヒーはできるだけ品質のよいものを使うべきとされています。当店で扱っているようなスペシャルティコーヒーはここでいう高品質コーヒーに該当すると考えられます。逆に、1杯数円レベルの原材料費になるコモディティ以下のグレードの豆は、低品質とされるのでしょう。しかしながら、コモディティ以下のグレードの豆は取扱単位が非常に大きく、生豆として一般のお店に出回ることは考えにくいです。

ですので、スペシャルティコーヒーやコモディティの中でもクオリティの高い豆を使用しているお店で購入するコーヒーに関して言えば、水洗いしていなくても安全性に何ら問題はありません

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