コピ・ルアクといえば、コーヒーマニアなら一度は見聞きしたことがあるコーヒーでしょう。しかしながらコピ・ルアクを取り扱っているお店を見かけることは余りありません。当店もコピ・ルアクを取り扱っていませんし、今後取り扱うこともありません。
先に申し上げますと、コピ・ルアクの専門店が日本にはありますので、もし飲んでみようかなーって方はそちらを検索してみるといいかと思います。ものすごく苦労して品質の高いコピ・ルアクを輸入しているところなので、もし当店がコピ・ルアクを取り扱うのなら、このような会社さんと取引すると思います。
本題に戻ります。当店と取引をしているあるインポーターが、コピ・ルアクの取扱を終了するというおしらせがいつか忘れましたがありました。このときに「そういえばコピ・ルアクは偽物が流通するなど品質管理が出来てないって問題になってたから、そういう面もあるんだろうな」と思っていたのですが結構根深い問題があるようでした。
一つ目はジャコウネコの扱いについてです。本来のコピ・ルアクはコーヒー畑にジャコウネコを放し飼いしたり、野生のジャコウネコが完熟したコーヒーの実を食べ、排泄したものを洗浄して精製するというプロセスを踏みます。ところがこれではまとまった生産量を確保できないということで、ジャコウネコをたくさん飼っている施設を作り、収穫した豆を食べさせるという方法をとるところが出てきました。これを本来の方法とは区別してケージと呼ばれるようになりました。
ケージで飼われるジャコウネコは施設によっては不衛生な環境で育てられるなど、動物虐待の側面から問題になっていたのです。
二つ目は、コピ・ルアクはジャコウネコの体内で発酵することによって独特のフレーバーが付加されるという説に対し、実はそのフレーバーはテロワールに由来するもので、ジャコウネコの体内での影響はほとんどないとする論文が出ていることです。この論文を文献データベースで漁っているのですが、執筆時点ではまだ見つけられていません。(見つかるのは動物虐待など問題を提起するものが多かったです)
これらの問題から、コピ・ルアクを扱うならトレーサビリティがしっかりしていて品質管理も出来てる状況にならなければ扱うべきではないと思うし、ジャコウネコが関与しましたというだけで、他のインドネシア産と実は風味が同じか劣る場合さえあるなら、インドネシア産を取り扱うべきだと考えています。
コーヒーの価格は需要と供給のバランスで決まります。それを是正するためというか、本来の風味で価格が決まるようにしている(と店長は思っている)のがSCA評価でしょう。当店はこれからも、安価でありながら品質がしっかりしている商品を選び抜いてお客様へ提供してまいります。