旅先で訪れたカフェのコーヒーがとても美味しくて、家でも飲みたいと豆を買って淹れてみたら全然違う味がしたというか美味しく淹れられなかったというショッキングな経験をしたり聞いたことはないでしょうか。
弊店に限ったことではないですし、知人はとあるお店の自慢の豆を淹れてみたら「売っていいのかこれ」というひどいコーヒーになったと嘆いておりましたし、比較的ポピュラーな現象なのかもしれません。
基本的にコーヒーの味が異なるのは、抽出条件が違うからです。お店ではできるだけこの条件を同じにして、安定した品質で抽出できるようにノウハウが蓄積されています。
お店としてはお客さんに美味しく飲んでもらいたいわけですから、豆売りされているところはだいたい抽出ガイドというのが用意されています。基本的には
- 湯量は豆量の12倍
- 蒸らしは30ccで30秒
- 湯温95℃
- 1/3ずつを60秒ごとに投入して、落ちきる前にドリッパーを外す
です。店によっては豆ごとに若干の調整が入っていたりします。また、ドリッパーなど抽出方法ごとに異なるガイドが用意されていることもあります。
さらに条件を合わせたい場合は、お店の抽出器具と揃えてしまうと言うのも手です。場合によっては恐ろしいほど高額な器具が使われていたりしますから、その場合は方式を近づけるのもいいでしょう。よく言われるのはHARIOのV60などに見られるサックリと透過するタイプとカリタウェーブに見られるお湯との接触時間が長くなる浸漬タイプのものです。
抽出ガイドと器具を寄せることでだいぶ近いコーヒーが得られるのではないでしょうか?まだダメ?
再現がめちゃ難しいパターンに高原やリゾートで作られる豆があります。これについてはまだ仮説の域を出ないのですが、弊店では「水が違いすぎるのでは」と見ています。いわゆる硬水軟水と呼ばれるものですが、日本の水道水は沖縄を除くと基本的にはほとんど軟水です。ただし、リゾート地や高原は浄水の水ではなく、地下水や井戸水を使っているところが多くあります。
水の中のカルシウムや鉄のイオンはコーヒーの味に影響を与えます。特に苦みに作用することが多く、浅煎りのコーヒーを硬水で淹れると酸味と渋みが立ちすぎて美味しくなかったりします。弊店がある近くのロースターでは深煎りが非常に好まれているのも、水質が影響しているのかもしれません。
リゾートや高原で豆を求める際は、水について聞いてみるのもいいと思います。
弊店は標高1000mの場所にあり、水道水ですがやや硬度が高そうな水ですので、皆様の環境に合わせるために東京都内でリモートワークしているメンバーにカッピングをお願いしています。また、エスプレッソに関しては市販されているミネラルウォーターを使用して味のチェックをしています。
くわえて、モニターや試飲の機会をできるだけ設けて、皆様からのフィードバックを豆に反映させ、美味しいと思っていただける豆を日々作り続けています。
モニターについては紹介制ですのでご案内できないのですが、弊店で豆を購入していただいた方には試飲の機会があると思いますので、そのときは是非ご協力をお願いいたします。