最近エスプレッソで使われてるらしいEPFについて
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コーヒーにおいて割と嫌われているものの一つに「微粉」があります。特に目の荒いフィルターを通り抜けてしまうコーヒー豆のことで、雑味の原因になったり、マウスフィールがよくないといった問題を引き起こすとされています。
体積1の挽いた豆の一粒と、体積0.01の一粒が同じ時間お湯に浸されていると、0.01の粒は過抽出になってコーヒー全体の味わいのバランスを崩すので、ミルもできるだけ粒がそろうものがよいとされています。
目の荒いフィルターというのは、ネルドリップやフレンチプレス、メタルフィルターがこれに当たります。目の荒いフィルターにも利点があって、コーヒーの旨味たる油分を通してくれます。この油分がコーヒーの味に厚みをもたせ(これをコクと表現されてるのだと思います)、複雑な香味と合わさって味わい深くなる、という構図です。
コーヒーの油分は焙煎が深ければ深いほど多くなります。あの真っ黒な豆にまとわりついているツヤツヤした部分が油分です。反対に、浅煎りだと油分はそれほどありません。すると、こんな問題がおきます。
「メタルフィルタしかないエスプレッソで浅煎り豆を使ったら、油分はないので、微粉のデメリットしか残らない。」
深煎りだと多少の微粉も油分のメリットを考えれば我慢できます。浅煎りだと油分のメリットがない分、微分のデメリットが目立つ。というわけです。
これを解決するのがEPFです。なんか凄そうなテクノロジーですが、なんてことはない、エスプレッソのフィルターバスケットにフィルターペーパーを入れればいいんじゃね?という考え方です。Espresso Paper Filteringの略なんです。
実はこのEPF、当店でも人気のある製品でよく使われているテクニックでした。エアロプレスのアタッチメント、FELLOW Prismo です。
この製品は通常のエアロプレスに比べると微粉が出やすいのですが、メタルフィルターの下に1枚エアロプレス用のフィルタを入れて抽出することで「よりクリーンな」コーヒーが楽しめるというものです。
微粉の存在がどこまでコーヒーの味に影響するかははっきりとわからないのですが、飲みきる時にカップの底に粉がたまっているのを見るのはちょっと残念な気持ちになるかもしれません。
EPFにはもう一つメリットがあります。フィルターバスケットは金属板に小さな穴を開けているだけなのですが、ここにコーヒー豆が結構詰まります。詰まるとフィルタ全体の穴の比率が小さくなります。詰まっていると抽出時、高圧のお湯は少ない出口を探してそこから一気に外に放出されます。そうすると、稲妻のようにコーヒーの通り道が一部にだけできてしまって、きれいな抽出にならなくなります。これをチャネリングと呼ぶんですが、EPFはそんな目詰まりを防止する効果もあります。
EPFによって浅煎り豆の特徴を生かしつつ、微粉を取り除いたクリーンなコーヒーを味わえるということで、既存のペーパーをハサミで切って使ったりしていたのですが、ついに専用の紙が発売されました。
とんがり系カフェの採用率がとても高い、元Appleエンジニア、ダグラスウェーバーが手がけるブランドWEBER WORKSHOPから、EPF用フィルタが売られています。100枚で1200円とまあまあお高いんですが、日本製の紙なのに海外から発送されるので送料が4300円とちょっと気軽に買える金額ではありません。
EPFのペーパーは当店では取り扱いがないのですが、エアロプレス用をハサミで切ってそれっぽいことは十分可能です。
エアロプレス用の紙をだいたい数ミリ幅で円形にだいたいカットします。
ポルタフィルターにサクッと入れて完成。
ということで、エアロプレス用のペーパーの在庫を増やしました。単体で購入すると送料が高くなってしまいますので、ほかの器具を合わせての購入がオススメです。