台風が来ても豆を避難させる必要はありません
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お客様からこんなお問い合わせをいただきました。
台風が近づくと気圧が下がりますよね。その影響でコーヒー豆の香りが抜けやすくなるので、バルブ付き袋に蓋をしたり密閉容器に避難させた方がよいという話を聞きました。これは本当ですか?
とてもおもしろいテーマです。台風などで気圧が下がることで袋の中と外で気圧差が生じ、バルブを通じて空気の移動が起きるのでその際に香りが逃げてしまう。ということなんだと思います。
早速様々な論文を当たってみましたが、気圧の変化によってコーヒーの香りが抜けるなど、品質の低下があるとする根拠を見つけられませんでした。
結論として、台風が近づいたからといって慌てて豆を避難させる必要はなさそうです。
気圧の変化で香りが抜ける可能性はあります
コーヒー豆は焙煎することで多孔質な構造になります。スポンジみたいなものです。内部には二酸化炭素などのガスを始め、様々な香気成分が含まれています。
理屈では内外の圧力差でガスの放出が促進される可能性はあります。しかし台風による気圧の変化はせいぜい数%です。しかもかなり長い時間をかけてゆっくり変化します。
影響はゼロとは言えませんが、仮にあったとしても人間の味覚や嗅覚で識別できるほどの差になるかと言えば、少なくともそのような根拠は見つかりませんでした。
バルブの誤解について
ここで誤解されやすいのが、コーヒー袋に着いているバルブの役割についてです。
袋に付いているバルブはコーヒーの豆の品質保持のためではなく、発生する二酸化炭素によって袋が膨らむのを防ぐためです。バルブがあれば長く品質が保持されるというものではありません。
品質を保つために気をつけるべきこと
コーヒー豆の品質に大きく影響するのは気圧ではありません。
高温多湿、直射日光、酸素との長時間にわたる接触、長期間の保存。これらの方がはるかに影響します。
そこで当店がオススメしているのは
1:届いたら袋のチャックを閉める(ガス抜きのため袋上部にわずかな通気穴をあけ、チャックも開けた上でシールしています)
2:キャニスターなどの密閉容器に移し替えるのもオススメ
3:直射日光を避け、冷暗所に保管する
4:長期保管は冷凍庫に。使うときは解凍せずそのまま使ってOKです。
是非これらを参考に保管をお願いします。
台風が来ても豆を避難させる必要はありません
結論としては台風が来たからといって、豆を避難させる必要はありません。普段通りしっかり保管していただければ大丈夫です。もちろん、大雨警報など危険な状況になった場合は身の安全の確保を最優先にしてください。
機会があれば真空ポンプなどを用意して、急激な気圧の変化がフレーバーにもたらす影響などを調べてみたいと思います。
そうそう、当店は標高1,000mの八ヶ岳山麓にあります。気圧はおおよそ900hPa前後で、平地よりかなり低い環境です。もし「気圧が下がるとフレーバーが抜ける」という話が本当に大きな影響を持つのであれば、当店は毎日コーヒー豆を低気圧環境にさらしながら焙煎していることになります。
一方で、発送先のほとんどは当店より標高の低い地域です。つまり豆は配送中により高い気圧環境へ移動していることになります。
そう考えると、「高い気圧によってフレーバーをギュッと閉じ込めてお届けできているのかもしれない」
とも言えそうですが、残念ながらそんな研究も見つかりませんでした。
台風によってコーヒー豆の品質に目を向けていただいたこと、ありがたく思っています。是非これからもしっかり保存して、おいしいコーヒーを長くお楽しみください。
台風が来ても豆を避難させる必要はありません。ただし、ご自身はしっかり避難してください。